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第9回 「就活キャリアデザインと禅」

今回は「就活キャリアデザインと禅」で開催しました。
ゲストに日本私立学校振興共済事業団の比留間進先生、福島の大学でキャリアデザインの講座や本業のマンガで教育などを手掛ける松田大愚さんをお迎えしました。昼間先生は就職難の今、学生たちにどのような心のあり方が大事かを現場で指導しておられます。就職難と言いながらも受かる学生はいくつも内定を取り、取れない学生は50社受けてもまったく取れない、この違いは肯定的、楽観的、積極的な心の持ち方にある、自分の言葉で書き話せること、自分の中に発電機を持つことなどを話されました。松田さんには実際の講座を紹介していただきました。
就活というと大学生や若い社会人を対象のようですが、フロンティアで扱うのですから現在の日本が抱える就職問題や企業事情も踏まえ、これからの可能性もまで踏み込みたい希望でのテーマ設定でした。

フロンティアで紹介した資料ですが、今3人に1人が非正規雇用で、年収200万円に満たないワーキングプアが1000万人を超えています。そんな中で3年前の資料ですが高校生の66%が「自分をダメな人間だと思う」と答えています。これはアメリカの22%、中国の13%に比べて断トツです。また「自分の力で社会を変えられるか」という問いに日本は30%のみ、アメリカは70%、中国は63%です。
こうしたことからもいかに日本の学生が将来に希望を見い出しにくい気持ちでいるかがわかると思います。

この現状にフロンティアに参加されていたベトナムの留学生やモンゴルの留学生が、日本に希望を持って来日したが元気のない様子に驚いたとか自分も目的に迷いが出てきているなど話しました。原因として恵まれていること、魅力を感じ見本となる大人がいないのではとの意見も出ました。

これは今や大方の学生や若い世代共通の認識です。大人に対して魅力を感じないというのは、あくまで自分達の現状にマッチしきらないという背景があるのですが、手本にならないという認識は皮相的な認識であって、大人世代も若者に対し何か理解できないという思いは同じなのではないでしょうか。今後その先に在る本当の意味での相互理解は不可欠だと私は強く感じています。彼らの思いはまだ幼くどこか夢見がちな面はぬぐえませんので、大人たちの歩き方そのものから学べるものは彼らにとっても財産のはずです。

しかしながら高度成長期のような「がんばる」「上を目指す」という考え自体がすでに若者たちの中ではなくなりつつあります。どこを目指して生きて行こうか、過去や手本に頼らず、何かを見いだそうとする新しい時代に入ってきていると思われます。

こうした中で模索する若者の中にひとつの流れがあります。
たとえば後継者のいない農村に入っていって管理運営を引き受ける、高校に入っていって語り合いながら人間同士の交流を持つ、こうしたNPOが増えつつあります。

未曽有の情報化時代での疎外感や人間関係の希薄さに危機感を抱く若者自体が動きつつあるのです。問題はそれが職業として成り立つ社会にほとんど成っていない、社会が応えられていない状況があります。民主党のマニフェストにNPOや公共領域を広げるというものもありましたが、その重要性に対する社会全体の認識は極めて低いと思います。

ところが先進国は動きつつあります。2010年のアメリカの就職ランキングはかなり衝撃をもって迎えられました。2位は国務省、3位はディズニー、4位はグーグルですが、1位に「ティーチ・フォー・アメリカ」というNPOが入っているのです。これはかなり話題になった教育の行き届かない地域に一流大学の学生たちが教師となり入っていくNPOです。

若者たちの意識が、「競争」「ハングリー」というモチベーションでなく、仕事を生きることとひとつに捉え、できることなら「自己実現」と「人の役に立つこと」で満足を得たい、自信を得たいという方向に大きくドライブしていきていると思われます。もっというと「自分の幸せが他の幸せになるような」生き方に希望を見いだそうと考えているようです。

アメリカの傾向は日本にも見られつつありますが、まだまだそれで本当に良いのかとの迷いがあります。それは食べて行くことにつながらないことが原因ですが、これは大人が流れをしっかりつかんで制度整備をしていかなければならない未来を見据えた深い思いやりから来る後輩への責任だと思います。
企業からの発言として、今の若者はすぐに辞めていく、使えない者が多い、との感想も今回も出ましたし現状多く言われることですが、それは企業が若者のこうした潜在する大きな流れを汲み取りきれないことにもあるのではないか、汲み取って新しい企業体質を作っていかないと双方がかみあわないままハングリーな外国人が流入し日本の若者は阻害され日本はどんどん力を失っていくのではないか、そんな気がします。

30年前にはあれほど盛んだった大学の禅の会がどこもすっかりダメになった、その背景に就職難がありました。先を読む学生は人間形成よりダブルスクールで資格取得に励むという方向です。中大五葉会も廃部の危機にありましたが、ここにきてようやく後継者ができました。彼の発言はこの時代にどう生きていくか、それには自分をしっかりつかまなければならない、禅は有効だと思った、というものでした。

今の若者の心にある「自己実現」が単なる成功ではなく「自分の幸せが、できるなら他の幸せであってほしい」という願いが込められつつあるのであれば、禅は今最も新しいのではないでしょうか。競争社会が精神的に行き詰まり、若者の意識が大きく変わりつつある時代に、50年後100年後を見据え真に平和な世の中を提示し、禅が鮮やかにブラッシュアップしてその模索に応えることは布教云々以前に今すぐにでも乗り出さなければならないと感じます。

このテーマは4月以降も引き続き「仕事と禅」「働くことと禅」「生きがいと禅」(仮題)などで掘り下げて行きたいと思っております。

参加総数73名でした。フロンティア終了後の日曜日には吟行会で根津神社まで散策し楽しいひと時を過ごしました。私はうっかり季語不明の句を投稿してしましました!(恥ずかしい・・・)

次回は「武道と禅」です。武道と禅が結びつくのはもはや当たり前、フロンティアならではの切り口ということで、剣道家で落語家の柳家小団治さんをお招きし、落語も剣道も面対面での真剣勝負、そのココロは?というような導入を考えています。(ちなみに私は高校生の時落研で、芸名は春日家空豆でした。ナツカシイ。。)次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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