禅とは?
ところで禅は古いもの、と思っていらっしゃいませんか?いいえ、今何よりも新しい発想、求められる発想に満ちています。
たとえば、ここに塩があったとしましょう。
ある人にとっては塩分の取り過ぎはよくないので毒だと思っています。ある人にとっては塩はなくてはならないものなので薬だと思っています。双方がお互いの主張を信じ曲げなかったとしたら? きっと永遠にわかりあえる日は来ないでしょう。
禅はこのような時、「では、なめてみようではないか」とするのです。「あらら、しょっぱい!これはどうやら取り過ぎは毒、しかし同時になくてはならない大事な薬だ」と知ることは、どちらかに偏った執着をさっぱり洗い流して心を自由にし、どちらでも場面に応じてこだわりなく使いこなせるようにしてくれます。
どちらかに偏るということは、立場や時代の流れなど、流動するものに影響され移り変わっていくもの、いわば不確かなものです。しかし塩の本当の姿は永遠に変わりません。どんなことであっても、その確かな姿を見られる目を養うことは、生きていく上でブレずに不動であると同時に自由になることでもあるのです。
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